ポール・クルーグマン教授のインタビュー 日経ビジネス
金曜日に届いた日経ビジネスにクルーグマン教授のインタビューが掲載されていました。
要点を書き出しておきます。結構いい加減なので、興味を持った方は日経ビジネス(2006.6.5)をお読みください。
- 格差社会の是非
- 格差はGDPに影響を与えないが、長期的には社会的、政治的にマイナスの影響を与える。格差についてはわからないことが多く、研究をしているところである。
- 日本の景気
- インフレ目標を設定すべき。デフレが終わったらすぐ金利を上げるべきではない。デフレ脱却宣言も危険である。公的負債(800兆円)についてはさほど心配する必要はないと考える。
- 中国の今後
- 米国は債務比率の膨張を維持することは考えにくく、厳しい調整があるだろう。中国は内需拡大しなければならないが経常黒字分のGDP5%を内需で埋めるのは簡単ではない。個人消費の弱さを克服しなければデフレになる。
- 米国経済の耐久力
- いずれドル安になり貿易赤字は縮小するだろう。住宅バブルは徐々に崩壊し数年後から本格的に価格が下落し住宅建設も長期にわたって低迷するのではないか。
- 米国の金融政策
- FRBにとっても住宅価格が怖いはずだ。バブルがはじけるとFRBの打つ手は限られており、米国の景気はおそらく減速するだろう。減税は失敗だった。これによって構造的な財政赤字ができてしまった。
- BRICsと南北問題
- 中国については現在の成長には限界があるが市場も生み出しているので上手くいくだろう。インドは高度な技術産業があるが、能力をもつ労働者は限りがあるので無制限に成長するわけではない。ロシアは石油輸出中心の経済であり、ブラジルも明確な特徴はない。途上国が発展により先進国に追いつくのは今世紀後半に入ってしばらく経ってからだろう。
- 世界経済の行方
- 世界経済はデフレ基調で貯蓄過剰で需要が多少弱い状態だといえる。低金利のせいで投資の質が落ちている印象がある。流動性資金が必死に使い道を探しているかんじがある。世界の利回りはかなり低いようで、このまま低リターンで収束する可能性もある。政府の金融政策でコントロールできる範囲を超えている。