戦略的要求開発のススメ

僕の本である、務システムの開発という仕事は、お客さんが要求しているシステムを要求しているように作って納めて使ってもらうというのが基本なのだが、お客さんが言うとおりのものをそのまま作ると大抵の場合はお客さんは「こんなの作れなんて誰が言った!」と不満をもたれたりしてしまう、結構不条理なことが起きたりする。

この原因は、(1)お客さんが思い描いていることと実際に「こんなのがほしい」と口に出して(もしくは字に書いて)表現することのギャップ、(2)お客さんの「こんなのがほしい」という言葉を作る側が「あんなことだろう」と勝手に解釈して生じるギャップから生じるものだ。

要するにお客さんの思い描いていることがきちんと把握できないということあるが、(2)の作る側が勝手に誤解して生じるギャップは作る側の問題なのでそこは自らの努力で解決できることなのでいいとして、(1)のほうは結構厄介だ。これをもうちょっと突っ込んで表現すると「お客さん自身が何が欲しいのかがはっきりしていない」ということになるだろう。

この「何が欲しいのか」をはっきりさせましょう、というのが要求開発で、開発フェーズの作工程のアナロジーを要件定義のフェーズにも使いましょうというのが大雑把なコンセプトだ。

このコンセプトはとても判りやすいし、今の仕事にも応用できる部分が多いのでとても参考になる本だと思う。がしかし、「何が欲しい」をはっきりさせるためには「何のために」という目的が必要になってくるわけなのだが、目的がはっきりしていること自体が実は少なかったりして、どうしようもなかったりするわけだが、そこまでこちらが足を突っ込んでいけるかはお客さんの規模(と自分の立場)次第だなあというあたりが限界点か。